なにごともない日

熱が出てね

そんな日はこれをこんなふうに

ただつま弾いてるんだ

ふうん

ギターをウクレレに持ち替えた彼

まるで抱っこして撫でてるみたいだな

でも熱出てるときには休まなきゃ

と、ふつうの意見も言ってみる

 

深刻な話は笑い飛ばして

どうでもいいことをだらだらと話し

しんみりとする話にしまったと焦って

そして彼の奏でる音に耳を傾ける

気がついたら面会時間をとうに越していた

 

ふたりの人生は重ならない

平行線のそれぞれで手を振って

ときにハグして握手して

だからこそそこにいてくれなきゃ困るんだよ

 

日記代わりに書くスケッチに添えられた言葉

なにもないという日が有り難いと

 

何もない日の一日でいいよ

会えたことも記憶になんか残らなくていい

ただまたこんな一日が巡ってきますように

いつもそうだったように

またねといって別れて久しぶりと言って会う

なにごともない日が続きますように