アポストロフィS 大島弓子を読みたくなるとき
アポストロフィSと聞いてあっ!と思い出した
本棚から数冊を取り出してページをめくる
歌うようなネームと長い睫の登場人物
走り終わったら泣けてきたようなそんな読後感
ほら
止まったとたんにさ、汗がふきだしてくるのってあるじゃない?
あんなふうに涙があふれてくるのがいやで
ずっと走っていたわけよ
見ないふりして気づかないふりして
駆け抜けて行ってしまいたかったんだ、たぶん
淋しいときには さようなら女達
不安なときは バナナブレッドのプディング
何度も読んで何度も泣いた
そうして明日の明けるのを待った
泣ける場所など探さなくていい
泣きたくなったらただ泣けばいい
そう自分に言い聞かせる
きっとそれくらいだけはつよくなったから
それだけでもたいした進歩じゃない?
言葉にならないこと
言葉にできないこと
それもわたしのたいせつなこころのうごき
「出発」の絵をじっとみつめるあの主人公の
まっすぐなひとみに憧れる夜