全然分かっちゃいなかった

 

向き合って分かったこと

いかに自分が分かってなかったか

 

メロディーにのせた歌詞のひとつひとつに

ふとした思い出がよみがえる

夜が終わっていく時間のほのかな明るみ

桜の花びらの薫る夜の深い闇

ひとつだけつけたライトに照らされた光と影

街灯の並ぶ街並みのなかの沈黙

歌いながら左を向けば合う視線

振り向けば見送っていてくれたひと

 

なにひとつ生み出す関係ではなくても

それがたとえ片思いであったとしても

と思っていたけど

それがどんな想いであったかは分からなくても

それでも想うだけでなく

たしかに想ってもらってもいたと

今頃になってようやく気付いて

どんな関係であろうとも

かけがえのない縁というものはあるのだと

あらためて彼の不在を悲しむ

ただひとりのひとでも

運命のひとでもなかったけれど

それでも大切で大好きなひとだった

そう今夜は書き記しておきたい

 

誰もいなくなった店の片隅で

彼のギターに合わせて小さな声で歌った何曲かの歌

今になって思えばどれだけ贅沢なひとときだったことか・・・