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別れ

日曜日にあるはずだったライブがなくなった

月曜日の明けやらぬ時間にメールが入った

20代からの友人のギタリストの訃報だった

夕方メールをくれたベーシストとともに通夜に向かう

土曜日のリハーサルまで普通通り行ったこと

去年の夏からの闘病生活

病人然として現れる彼が演奏を終える頃には頬を紅潮させ

痩せた風貌も相俟って昔みたいに見えたこと

日曜日、当日のリハーサル途中で倒れて救急車で運ばれたこと

そして夜に逝ったという

あれはもうほぼ気分は舞台で倒れたみたいなもんだね

生涯現役、舞台で死にたいって実現させたも同然かな

家族はたまらんかもしれんけどある意味幸せある意味彼らしいよねって

 

 

通夜から帰っても実感が湧かない

お別れをしたはずなのにあれは彼じゃない

いや少なくとも彼はもうあそこには居なかった

そう思えてしまう

ぼんやりとかすみがかかったような時間

昔の写真を何度もみる

思い出を手繰り寄せ手繰り寄せ

楽しかった出来事を反芻する

仕事をする

どこかでふと思い出す

しばし意識が飛ぶ

水曜日何もする気が起こらず

お茶のお稽古もダンスのサークルも休んだ

家の仕事をしてはしばしぼおっとしてた

夕方ようやく泣けた

誰もいない家で声をあげて泣いた

 

 

これからもふと思い出して

その不在に気づいてはすこしずつ泣くのだろう

家族でも恋人でもない

友人と呼ぶのもすこし違う気がする

それでも友人と呼ぶしかないのだけれど

あまりに長いこと知り合いでいたので

すこしだけ身内のようないとこのお兄ちゃんみたいな存在だったかも

 

近しい人との別れはつらい

さりげないほどの存在ほど

その不在の大きさに気づかされたりする