思い出の
祖父が家に遊びに来た時
牛乳を飲むのに使っていたコップ
その祖父が亡くなったのは
確か私が小二の時
どうしてそんなに
コップと祖父が結びつく記憶があるのか
小さい頃のホットケーキミックスに
粉を溶かして使うメープルシロップがついていた
それを溶かす器は
タンポポのような花が描かれた
持ち手が三角形を描く
緑と砂色の混ざった
陶器の素朴なデミタスカップ
子どもの小さな指でも狭かった
その持ち手の感触を覚えている
器は無くなっても
器にまつわる記憶は無くならない
特別なものでなくても良い
私の大好きなものを
大好きなんだよって
惜しみなく言えるように
小さな女の子に
笑顔とともに差し出したい